生存記録

食べたものや日記を書いています

伊丹十三からピリッとした言葉をもらいたい

今週のお題「最近読んでるもの」

せっかくお題があるので、自分が今読んでいるものについて書く。

伊丹十三の「女たちよ!」は大好きなエッセイ本のひとつである。最近これを再び読んでいる。

www.shinchosha.co.jp
伊丹十三昭和8年生まれの俳優で、監督やデザイナー、エッセイストなど幅広く活躍した方だった。この方の書く文章には品性、加えて少年らしさ(!)が兼ね備えられていて、私は何度読んでもくすりと笑ってしまう。日本ではまだ珍しかった海外の文化や、日本が豊かになり、次第に風紀が乱れていく様を嘆いたりしている。

本に「西洋料理店における野菜サラダを排す」というエッセイがあり、サラダとは本来新鮮なものをばりばりと食べるものなのに、味や香りのない野菜に適当な「ドレッシング」なんてものをかけるなんてと嘆く話がある。サラダとはどのような野菜を使うべきなのか、ドレッシングとはどうやって作るものなのか(瓶詰めの出来合いなんて彼にとってはもってのほかなのだ)、とうとうと語っている。
彼は良いものがなぜ良いのか、粋とは何かを常に考えられる人なんだろう。

上の新潮社の紹介ページにもこんなふうに書かれている。

 


日常の振る舞いにこそ、その人となりは現れる。スパゲッティの召し上がり方、アルコールの嗜み方、サラダの本格的な作り方、クルマの正しい運転法、セーターの着こなし方、強風下でのマッチの点け方、そして「力強く、素早く」の恋愛術まで。体験的エピソードで描かれる実用的な人生論風エッセイ。真っ当な大人になるにはどうしたらいいのか? そんな疑問を持つ「男たち」へ――。


こんなふうにウィットに富みながら持論を展開できる方が今の世の中にどれだけいるだろう。伊丹十三が生きていたら、柔軟剤の人工的な甘い香りを振りまきながら歩く輩にピリッとした言葉を投げかけてくれるんじゃないかなと私は期待している。